富山大医学部数学'08[2]

水平な平面αを考える。α上の点を中心とし半径1である球Sの、αより上にある部分をHとする。平行光線がαHに斜め上からあたっていて、α上にHの影ができているとする。その平行光線とαとのなす角がθ ()であるとき、次の問いに答えよ。なお、半径1の球の表面積がであることは用いてよい。
(1) Hの、光線があたっている部分の面積を求めよ。
(2) α上にできる影の面積を求めよ。ただし、αSとが交わってできる円の内部は影とは呼ばないこととする。
(3) を最小にするようなθ とするとき、の値を求めよ。


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解答 答は簡単ですが、(1)からして難問だと私は思います。最初は平面上に置かれた半球に光を当てたときにどういう影ができるのか、いろいろな図を描くところから始めるのだろうと思います。
雰囲気をつかむのには鳥瞰図が良いのですが、鳥瞰図を見ていても答は出てこないので、ま横から見た図
(右図1)と、ま上から見た図(右図2)を描きます。
半球の中心
Oの真上を通過する平行光線が半球面と接するとき、接点をP,平面αとの交点をAとします。
また、半球上で中心
Oの真上からずれたところを通過する平行光線が半球面と接する接点をQ,平面αとの交点をBとします。
また、平面
α上で直線OAと垂直な直線に、Bから下ろした垂線の足をR2本の平行光線の通過経路の平面αへの正射影としてできる2直線の距離(右図2OR)x (QPに一致するときを含めて、)とします。

(1) 半球Hの光線が当たっている部分は、右図で黄色で着色された部分です。円の一部分の面積ではなく、球面の一部分の面積なので、ちょっと考え込みます。
まず、Hのうち、Oを通りOAに垂直な平面Kから左側の部分には光線が当たっています。この部分の表面積は、球面全体ので、です。
問題は、右図
1で平面Kと直線OPの間に挟まれているように見える部分の面積です。
平面
Kに垂直で点Qを通る平面(直線QBを含み平面αに垂直な平面)Hを切ると、半径の円周のに当たる円弧DCを、Qθ に分けています。この比はxに依存しません。Hと接するすべての平行光線について、この比になります。
ということは、
Hのうち平面Kから右側の部分で、光線が当たる部分は、球面全体のの部分のうち、θ に分けたうちのθ の部分で、その表面積は、
......[]

(2) 右図2において、影はOAに関して対称なので、影の面積は、OAから上側のみ考えて2倍することにします。
右図1において、より、
影の部分の長さは、
影の面積は、の範囲で積分して
2倍することにより、
定積分は、,つまり、円:の部分とx軸に挟まれている部分(右図黄緑色着色部分)の面積で、円の面積のなので、
......[]

(3) として、
 (商の微分法を参照)

とすると、

 ・・・@
なので、 であることに注意してください。
@をみたす
θ として、
0


0



増減表より(関数の増減を参照) ......[]

別解 (2)については、球Sに接する平行光線を集めると、中心Oを通り平行光線に垂直な平面で球を切ったときにできる円周(半径1)で、この球に接する円筒面ができます。この円筒面を平面αで切ると楕円ができるので、楕円の長軸と短軸を求めれば影の面積を求めることができます。
楕円の半短軸は円の半径
1です。半長軸は、上の右図1です。
影の面積は、楕円の面積
(π×半長軸×半短軸)の半分から、半円の面積を引いて、
......[]

別解の考え方によれば、東大理系'84[1]
空間内の点の集合に含まれ、原点Oにおいてx軸に接し、xy平面との傾きをなす、半径1の円板Cがある。座標がの位置にある点光源Pにより、xy平面上に投ぜられた円板Cの影をSとする。Sの輪郭を表すxy平面上の曲線の方程式を求めよ。(一部省略)
という問題を以下のように考えることができます。
Sは楕円になるので、楕円と長軸(y軸上に来る),短軸(x軸に平行)を考えます。
長軸の一端は原点です。もう一方の端は、原点と反対側の円板直径の端点
Pを結ぶ直線とxy平面()との交点でです。この点と原点を結ぶ線分の中点が楕円の中心で、長軸の長さは,半長軸は
短軸の端点を求めるために、
yz平面上でを通る直線と、円板とyz平面との交線とを連立すると、
円板の円周上の点で、のとき、より、
を結ぶ直線:

xy平面との交点は、とすると、
このとき、
よって、半短軸も,半短軸と半長軸がともになので、求める
xy平面上の曲線は、を中心とする半径の円で、
......[]

なお、東大理系'88[5]
xyz空間において、xz平面上ので表される図形をz軸のまわりに回転して得られる不透明な立体をVとする。Vの表面上のz座標1のところにひとつの点光源Pがある。
xy平面上の原点を中心とする円Cの、Pからの光が当たっている部分の長さがであるとき、Cのかげの部分の長さを求めよ。(答は)
という問題もあります。


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