奈良県立医大数学'09[2]

n2以上の整数とし、1からnまでの相異なるn個の整数を横一列に並べて得られる各順列σに対して、左からi番目の数字をと記す。このとき、条件,かつを満たす整数の対の個数をとおく。さらに1からnまでの順列σ全体のなす集合をSとする。順列σS全体を動くとき、の総和を求めよ。


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解答 抽象的なことを言っている問題文で、なかなか題意がつかめません。こういう問題では、の場合、の場合、・・・、と具体的に調べて行くことになります。問題文がどういうことを言っているのか、ということが把握できてから解答を考えるようにしましょう。

まず、整数
nを決めると、という個数があって、はその総和だというのですから、少なくともは、nに対して定まる数値だ、ということが言えます。そこで、と書くことにします。
また、
1からnまでの相異なるn個の整数を横一列に並べて得られる順列を,「条件,かつ」を条件Cと表すことにします。

のとき、
122個の数字で順列を作ると、2通りできます。
では、として
(1番目の数字) (2番目の数字)なので、となり、条件Cは満たされません。です。
では、として
(1番目の数字) (2番目の数字)なので、となり、条件Cは満たされています。これより、条件Cを満たす整数の対のみで、です。
これで、は、順列の中で、大小関係がひっくり返っている対の個数を言っているのだ、ということがわかります。また、です。

のとき、
1233個の数字で順列を作ると、6通りできます。
では、大小関係がひっくり返っている対はなく、です。
では、なので、条件
Cを満たす対のみで、です。
では、なので、条件
Cを満たす対のみで、です。
では、条件
Cを満たす対はで、です。
では、条件
Cを満たす対はで、です。
では、条件
Cを満たす対はで、です。
これより、です。
ここで、の場合との場合とを比較してみます。

(i) であるは、最大の3が末尾に来ているので、のときには条件Cは満たされません。だけを見ればの場合と同じで、ではではになります。
(ii) であるは、最大の32番目に来ているので、1であっても2であってもとなり、という対では条件Cが満たされます。だけを見ればの場合と同じで、の分だけ1個増えて、ではではになります。
(iii) であるは、最大の3が先頭に来ているので、,また、となり、という対では条件Cが満たされます。だけを見ればの場合と同じで、の分の2個が増えて、ではではとなります。
これで規則性が見えてきます。

のとき、順列は
24通りできますが、最大の4が何番目に来るかで場合分けして考えると、
(i) のときには、最大の4が末尾に来ていて、のときには条件Cは満たされません。だけを見ればのときと同じで、この場合のの和はです。
(ii) のとき(6通りの順列があります)には、最大の43番目に来ていて、のいずれについてもとなり、という対では条件Cが満たされます。だけを見ればの場合と同じで、6通りの各順列についての分だけ1個ずつ増えて、この場合のの和はです。
(iii) のとき(6通りの順列があります)には、最大の42番目に来ていて、となり、という対では必ずCが満たされます。だけを見ればの場合と同じで、6通りの各順列についての分の2個が増えて、この場合のの和はです。
(iv) のとき(6通りの順列があります)には、最大の4が先頭に来ていて、となり、という対では条件Cが満たされます。だけを見ればの場合と同じで、6通りの各順列についての分の3個が増えて、この場合のの和はです。
以上より、です。

これで、一般の整数
n ()の場合について考えることができます。
順列は通りできますが、最大の数字
nが第k番目()に来る、つまり、だとすると、
(i) のときには、最大のnが末尾に来ていて、のときには条件Cは満たされません。,・・・,だけを見ればのときと同じで、この場合のの和はです。
(ii) のとき(kの各値について、通りの順列ができます)には、最大のnが第k番目に来ていて、としてという個の対では必ず条件Cが満たされます。からを除くとのときと同じで、通りの各順列について個増えて、この場合のの和はです。
以上より、
 (Σの公式を参照)

 ・・・@
これを用いて、

これより、
と予測できます。予測が正しいことを数学的帰納法を用いて証明します。
(T) のとき、より、予測は成立します。
(U) のとき、予測が成立するとして、
@より、

よって、予測は成立します。
(T)(U)より、となる整数nについて、
......[]


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