京大理系数学'10年乙[6]検討

[6](解答はこちら) 多数の項の積になる確率の対数の極限が、区分求積法によって定積分になる、という流れは、定型パターンの問題と言えると思います。本問を見ておけば、今後、類題に当たっても対処できるでしょう。
ですが、確率の考え方自体は、定型的に思わない方がよいと思います。というのは、本問のような問題で、個の箱に
n個のボールを入れる場合の数が、通りになって、通りにならないのか、わからない、PCの違いがわからない、という、疑問を抱く方がいるからです。この場合は通りで、別の場合では通り、というように、パターン化して扱おう、と、発想せずに、問題ごとに考えるようにして頂きたいと思います。
くらいで具体的に見てみましょう。本問の場合、
6個の箱(1〜箱6とします)があり、3個のボール(ABCとします)の各1個について、等しい確率6個の箱のいずれかに入ります。どの箱にも1個以下のボールしか入らない確率を求めることになります。だとすると、
ボールが1個ずつ3個の箱に入るとき、6個の箱からボールの入る3個の箱の選び方が通り、
ボール
2個が1個の箱に入りボール1個が別の1個の箱に入るのは、6個の箱からボール2個の入る1個の箱の選び方が6通り、その各1通りについて、ボール1個の入る箱の選び方が5通りで、通り、
ボール
3個が1個の箱に入るとき、6個の箱からボール3個の入る1個の箱の選び方が6通り、
求める確率は、 ・・・@
と考えるのは、誤りです。というのは、
ボールが
1個ずつ3個の箱に入るときの場合の数を20通りとしていますが、そのうちの1通り、例えば、箱1と箱2と箱31個ずつボールが入る場合と、
ボール
3個が1個の箱に入るときの場合の数を6通りとしていますが、そのうちの1通り、例えば、箱13個のボールが入る場合とが、
同様に確からしい、とは言えないからです。
1と箱2と箱31個ずつボールが入る、とは、言っても、箱1A,箱2B,箱3Cが入る場合、箱1B,箱2C,箱3Aが入る場合、など、6通りの場合があるのに対し、箱13個のボールABCは入る方は1通りしかありません。
本問では、ボール各
1個は「どの箱に入る確率も等しいとする」という前提で考えています。「箱1A,箱2B,箱3Cが入る場合」と「箱13個のボールABCが入る場合」であれば、同様に確からしいとは言えますが、@式の分母の20通りと30通りと6通りとでは、その各1通りが同様に確からしいとは言えないのです。
本問では、全事象は、ボール
Aの入り方が箱1〜箱66通り、ボールBについても6通り、ボールCについても6通りで、通り、とすれば、この各1通りが「同様に確からしい」と言えるようになります。
そのときに、どの箱にも
1個以下のボールしか入らない、という場合の数は、ボールAが箱1〜箱66個の箱のどれかに入り、ボールBについて、ボールAが入らなかった箱5個のどれかに入り、ボールCについて、ボールABが入らなかった箱4個のどれかに入るので、通り、
求める確率は、,つまり、
となります。
ですが、もし、
3個のボールの入れ方通りの各1通りが同様に確からしい、という設定の問題であれば、答えはになります。
つまり、何を同様に確からしいと考えるか、ということによって、通りか、通りか、ということは違ってきます。重要なことは、事象
Aの起こる確率:において、分母と分子すべてにわたって、何を同様に確からしいとしているか、という考え方が揃っている、ということです。

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