1次変換(その2)

1次変換のつづきです。
1次変換fgの表現行列をABとする。ベクトルに対して、
のとき、

からへの対応をfg合成変換と言い、と表す。
であり、

となるので、合成変換の表現行列は
また、であって、が存在するとき、からへの対応をf逆変換と言い、と表す。
であり、

となるので、の表現行列は

と書くとき、まず、fが作用し、次にgが作用します。
の場合には、任意のベクトルをとって、を満たすが求められるわけではありません。このときにはfの逆変換は存在しません。
は、より、恒等変換です。
は、より、もとの変換fです。

1つ準備をしておきます。(行列行列の積を参照)
n
次正方行列A成分をとして、Aの転置行列成分はです。
n次正方行列B成分をとして、成分は、です。
の転置行列成分は、です。これを、と見ると、成分、成分なので、成分と見ることができます。成分が成分に等しいので、

が成り立ちます。


を満たすn次正方行列Aを直交行列と言う。また、直交行列の表す1次変換を直交変換と言う。直交行列Aについて、であるとき、

が成り立つ。つまり、直交変換は、ベクトルの大きさを変えない変換である。
2次正方行列Aが直交行列であるとき、Aの表す1次変換は、
(i) が表す、角q の回転移動
(ii) が表す、直線:に関する対称移動
のどちらかに限られる。

数学Bで扱った内積は、行列の積に相当します。
n次元空間内のベクトルの内積:1次変換に際して保存されれば、ベクトルの大きさは変わりません。
として、
内積が行列
Aの表す1次変換において保存されるのであれば、

こうなるためには、

であればよいことになります。この性質をもつ行列が直交行列です。
,・・・,を列ベクトルだとして、と書けたとします。
直交行列の条件は、

 
 
これが満たされるためには、クロネッカーのd記号(のときのとき)を用いて、

つまり、 ・・・@
()
 ・・・A
@より、列ベクトル
,・・・,はいずれも単位ベクトルです。
Aより、列ベクトルは互いに直交します。
つまり、直交行列は正規直交基底となるベクトルを横に並べてできている行列です
(横ベクトルを縦に並べた、と、見ることもできる)

2次正方行列で直交行列となるものを考えてみます。上記により、列ベクトル(横ベクトル)は単位行列であって、互いに内積が0となるので、
 ・・・B
 ・・・C
 ・・・D
 ・・・E
 ・・・F
Bより、
とおけます。
Dより、
Eより、
Fより、
このうち符号で意味のある組み合わせは、
,つまり、
,つまり、
従って、2次正方行列で直交行列となるものは、以下の2通りに限られます。
(i)
(ii)

(i)
は、というベクトルにかけると、

 
 
よって、行列Aの表す1次変換は、原点のまわりにベクトルを角q だけ回転移動させることを意味しています。

(ii)は、直線: ・・・G に関する対称移動(座標平面における対称を参照)を表しているのですが、がGに関して対称だとすると、として、


行列を用いて表すと、
両辺に左から、をかけると、

 
2倍角の公式より、


よって、
これで確かめられました。


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