東工大数学'03年前期[2]

2辺の長さの比が1a ()の長方形がある。この長方形から1本の線分にそって切ることにより正方形を取り去る。残った図形が正方形でなければ、再び同じ要領で正方形を取り去り、残りが正方形でない限りこの操作を続ける。例えば、の場合はどちらも2回でこの操作は終わる。
(1) 3回の操作で終わるようなaの値をすべて求めよ。
(2) n回の操作で終わるようなaの値の最大値と最小値を求めよ。


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解答 ゲーム感覚で考える問題で、操作回数が1回増えても、1回前の状態にさかのぼって行けばよい、と気づけば、数学的帰納法が見えてきますが、非常に説明しづらい問題です。国語の表現能力が問われる問題です。

何回か操作を続け、
1本の線分にそって切ることにより正方形を取り去ったときに、縦が横よりも長くなるときには縦と横を入れ替えることにして、縦の長さがx,横の長さがyになったとします()
このとき切り取られてできる長方形が、右図のようであったとすると、切り取られる前の長方形は、横が縦より長くなるように置けば、縦が
xで横がであったか、あるいは、縦がyで横がであったかのいずれかです。
このときの、正方形を切り取る操作を、
と表すことにします。
上側の矢印は、隣接
2辺の長さの比が1の長方形から正方形を切り取って、隣接2辺の比がxyの長方形ができることを意味します。
下側の矢印は、隣接
2辺の長さの比が1の長方形から正方形を切り取って、隣接2辺の比がxyの長方形ができることを意味します。
矢印の向きと逆方向にたどると元々の長方形の形を調べることができます。

操作が終了するとき、最後に正方形が残るので、
2辺の長さの比は、11です。

(1) 最後に正方形が残ったときから、3回の操作をたどってみます。

これより、 ......[]

(2) のとき、aの最大値は4,最小値はです。
(1)の図を見ると、に対して、最大値は、234と変化するので、n回操作のときには、と予想できます。
のときの
aの最小値は、のときの最大値を作る長方形(隣接2辺の比が13)のところから出てきます。
n回操作のときのaの最小値は、回操作時の最大値nより、と予想できます。

n回の操作で終わるときに、aの最大値が,最小値がとなることを数学的帰納法を用いて証明します。
以下においては、各回の操作で得られる長方形を、縦よりも横の方が長くなるように置き直して考えるものとします。
(T) まず、のとき、1回の操作で切り取られる前の長方形はに限られるので、最大値、最小値ともに2で成り立ちます。
(U) のとき成り立つとして、k回の操作で終わるときに、aの最大値は,最小値はです。
このとき、aが取り得る値を小さい順に、とします。
ここで、です。
回の操作で終わるとき、最初の長方形に対して
1回操作を行って得られる長方形の隣接2辺の比が取り得る値は、k回の操作で終わるときの最初の長方形の隣接2辺の比が取り得る値になる(操作回数が1回増えるときには、1回前にさかのぼればよい)ことに注意してください。
()について、回の操作で終わるときのaの取り得る値は、
なので、
また、のとき、より、
また、
以上より、回の操作で終わるときのaの取り得る値の中で最小のものは、
最大のものは、
よって、のときも成り立ちます。
(T)(U)より、n回の操作で終わるときのaの最大値は,最小値は ......[]


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