年の問題です。
とする。ただし、
はxのガウス記号でxを超えない最大の整数である。このとき、次の問いに答えよ。(1)
のグラフを描け。 (2) 数直線上で、動点Pが
から出発して、
,
,・・・,
,・・・ という関係で移動を繰り返すとき、以下の問いに答えよ。 (b) 動点Pの座標
,
,
,・・・に対し、
のとき、
が成り立つことを、数学的帰納法で証明せよ。 (c) 動点Pが、異なる2点間を往復運動している場合、その2点を求めよ。
(2)(b)は、(1)のグラフや直線の式を使わずに、
の記号を使ったまま、上記の(*)を使って解答を書いてみてください。
[3](解答はこちら) 確率の問題のように見えて、この問題は不等式の証明の問題です。「受験技巧」というものがあまり好みではない私も、この問題は、見た瞬間に、コーシー・シュワルツの不等式とひらめいて欲しい気がします。(1)で等号成立の必要十分条件を聞いているので、「コーシー・シュワルツの不等式より」では、通らないと思いますが、証明をつけて、等号成立の条件を考察しておけばよいのです。
コーシー・シュワルツの不等式は、2個のベクトル
,
について、それぞれのベクトルの大きさの2乗の積は、内積の2乗以上である、というように記憶します。つまり、
・・・(*) なぜ、こうなるかと言うと、
と
のなす角をq として、
(
) だからです。高校では、ベクトルは2次元、3次元のベクトルしか扱いませんが、ベクトルは4次元でも、100次元でも構わないので、nを自然数としてn次元のベクトルについて(*)が成立します。
解答では
の場合について証明をつけておきましたが、高校数学には6次元ベクトルは登場しないので、2次関数の判別式を用いた証明を書いておきました。(*)であれば、
という2次方程式について、
⇔
が、重解、または、虚数解をもつ ⇔ 判別式
(**) という要領で証明します。難関大学を志望する諸氏は、コーシー・シュワルツの不等式は、2次方程式を利用して証明できる、くらいは、覚えておいても良いのではないでしょうか。
というのは、2つの関数
,
の内積を、
と定義し、関数
の大きさ(関数の「大きさ」と言うのも変なので、「ノルム」と言います)を、
として、コーシー・シュワルツの不等式を考える問題があるからです。例えば、'89年早大理工[3]:
(i)
,
を
で連続な関数とする。このとき、すべての実数tに対して
が成立することから、次の不等式を導け。 (ii)
は、
をみたし、かつ導関数
は
で連続とする。このとき、次の不等式(1),(2)を示せ。
とする。 (1) 
(2) 
(iii)
は(2)の条件のほかに
をみたすとする。このとき、次の不等式を示せ。
(
) (i)は、まさに、コーシー・シュワルツの不等式です。この証明は、
が成立することから、tの2次方程式:
の判別式Dについて、
として得られます。これが、(**)と全く同じことをしている、ということがおわかり頂けるでしょうか。2次方程式は、高校数学の最初に出てくるので、あまりに基本的で、ないがしろにされがちですが、活躍の場は意外と広いのです。
東工大[3]では、(2)の
の証明で2次関数を使います。確率の問題で2次関数、というのが、なかなか発想できないかも知れませんが、2次方程式・2次関数は、いろいろなところに使えて便利な道具です。
[4](解答はこちら) 以前は、東工大は2次曲線をよく取り上げていた(前期では‘96年[2],'97[1],'98年[4],'02年[2])ように思いますが、最近ちょっとご無沙汰でした。
この問題は楕円として難問というわけではありませんが、問題文を読んでいろいろなアプローチが考えられるので、どのアプローチで行くか悩むかも知れません。2次曲線の問題によっては、対応を誤ると泥沼にはまることになるので、解答方針の選択には神経を使うところです。
この問題でも、回転変換の行列を考えるか、図形的に処理するか、垂直2等分線を考えるか、いろいろ考えられます。ですが、解法を悩んでいるばかりでは先に進むことができません。とにかく、計算用紙や問題冊子のすみでちょっと計算を始めてみることです。
解答では、反時計回りに角q 回転することを表す行列
を用いて考えましたが、他の方法で解答しても時間的には大差ありません。悩んでいる時間の方がもったいないのです。受験生ごとにクセがあって、得意なアプローチ、得意な解法は異なるので、どの解法が良いのか一概に言うことはできないのです。「2次曲線の問題は○○○で行け」、などと書かれている参考書があるのだとしたら、自分の感性にフィットしている参考書を探さないといけません(時間的制約の強いセンター試験のような場合には、あらかじめ解法を決めておくべきなので、解法を指定してくれている本の方が良いと思います)。理想を言えば、仮に行き詰まっても他の解法に切り替えられる時間的余裕を作ることができる迅速な計算力を磨くべきだ、ということになると思います。
この問題では、文字がp,q,aと出てくるので、楕円の方程式を導くときに、どの文字を消去するのか勘違いしないように注意しましょう。aは定数で、p,qが変数なので、p,qを消去することになります。
楕円がテーマの問題で、解法をよく考えるべき問題を1つ紹介しておきます。
阪大理工'01後期[2]:
楕円
(
) 上に点Pをとる。ただし、Pは第2象限にあるとする。点Pにおける楕円の接線をlとし、原点Oを通りlに平行な直線をmとする。直線mと楕円との交点のうち、第1象限にあるものをAとする。点Pを通りmに垂直な直線がmと交わる点をBとする。また、この楕円の焦点でx座標が正であるものをFとする。点Fと点Pを結ぶ直線がmと交わる点をCとする。次の問いに答えよ。 (1)
であることを示せ。 (2)
であることを示せ。
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