東工大数学'08前期[3]検討

[3](解答はこちら) 確率の問題のように見えて、この問題は不等式の証明の問題です。「受験技巧」というものがあまり好みではない私も、この問題は、見た瞬間に、コーシー・シュワルツの不等式とひらめいて欲しい気がします。(1)で等号成立の必要十分条件を聞いているので、「コーシー・シュワルツの不等式より」では、通らないと思いますが、証明をつけて、等号成立の条件を考察しておけばよいのです。
コーシー・シュワルツの不等式は、
2個のベクトルについて、それぞれのベクトルの大きさの2乗の積は、内積の2乗以上である、というように記憶します。つまり、
 ・・・()
なぜ、こうなるかと言うと、のなす角をq として、
 ()
だからです。高校では、ベクトルは2次元、3次元のベクトルしか扱いませんが、ベクトルは4次元でも、100次元でも構わないので、nを自然数としてn次元のベクトルについて()が成立します。
解答では
の場合について証明をつけておきましたが、高校数学には6次元ベクトルは登場しないので、2次関数の判別式を用いた証明を書いておきました。()であれば、
という2次方程式について、
が、重解、または、虚数解をもつ 判別式
 (**)
という要領で証明します。難関大学を志望する諸氏は、コーシー・シュワルツの不等式は、2次方程式を利用して証明できる、くらいは、覚えておいても良いのではないでしょうか。
というのは、
2つの関数の内積を、と定義し、関数の大きさ(関数の「大きさ」と言うのも変なので、「ノルム」と言います)を、 として、コーシー・シュワルツの不等式を考える問題があるからです。例えば、'89年早大理工[3]
(i) で連続な関数とする。このとき、すべての実数tに対してが成立することから、次の不等式を導け。
(ii) は、をみたし、かつ導関数で連続とする。このとき、次の不等式(1)(2)を示せ。とする。
(1)
(2)
(iii) (2)の条件のほかにをみたすとする。このとき、次の不等式を示せ。
 () 
(i)は、まさに、コーシー・シュワルツの不等式です。この証明は、が成立することから、t2次方程式:
の判別式Dについて、
として得られます。これが、(**)と全く同じことをしている、ということがおわかり頂けるでしょうか。2次方程式は、高校数学の最初に出てくるので、あまりに基本的で、ないがしろにされがちですが、活躍の場は意外と広いのです。

東工大
[3]では、(2)の証明で2次関数を使います。確率の問題で2次関数、というのが、なかなか発想できないかも知れませんが、2次方程式・2次関数は、いろいろなところに使えて便利な道具です。


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