東工大数学'10年前期[3]検討

[3](解答はこちら) もともと東工大では、確率として頭をひねるような難問は、あまり見かけないのですが、それにしても、本問はセンター試験よりも易しい問題なので驚きました。逆に、試験場では何か裏があるのかと悩んでしまうかも知れません。
ことしは、
慶大理工[2]もとても易しいのですが、文系大学では、昨年の一橋大09年前期[5]など高難度の問題が出ています。本年早大理工[5]も難問です。早大理工は昔からレベルの高い確率の問題をよく出題しているので、その流れに乗っていると思いますが、本問などで感じるのは、実際の入試で理系の確率の出来が良くないのではないか、と、言うことです。個人的にも、確率を苦手にする受験生が増えているような印象を受けます。
最近の受験生を見ていて感じるのは、専門指向が強過ぎて、自分が目指すものと少しでも方向性が違うと思い込むと
(実際には必要不可欠なことであるのに)無視を決め込もうとする傾向があることです。確率の問題を解く上で必要な読解力でさえ不要としてしまっていないか、と感じます。
入試問題の出題者が、どうせ確率は難問を出すと出来が悪いので易しい問題にしよう、と、思ってしまえば、それまでなのですが、私は、出題者には、今年の早大理工のように受験生の実力差のつく問題として確率の問題を選ぶようにして頂きたい、と思うのです。
受験生の将来を考えるとき、計算技巧のようなものはハンドブックでも引けばすぐに調べがつきます。計算速度はコンピュータに任せればよいのです。研究者・技術者として重要なことは、計算能力などの博学な専門知識ではなく、社会全般にわたる幅広い識見なのではないかと思うのです。幅広い識見・素養を磨く上でも、文章を正しく読み書きし、その意味を読解できる能力は必要不可欠です。数学の入試問題では、そうした能力を測る問題は、やはり、確率分野の問題だと思うのです。
東工大を志望する受験生は、本問を見て東工大では確率の難問はなし、と、決めつけてしまわないで、上記の一橋大や早大理工の問題にもチャレンジして頂きたいと思います。また、読解力をつけるために、センター試験でも必須となる現代国語の授業も大切にして頂きたいし、地歴公民もしっかり勉強して頂きたいと思います。遠回りに見えますが、それが、実は問題解決能力を高める秘薬であり、合格の秘訣なのです。
ケプラーが天体運動の観測データからケプラーの
3法則を導き出したり、そこからニュートンがさらに運動の3法則を導き出したり、現代物理学が、良質の鉄鋼を得るための黒体放射スペクトルの研究から始まったりすることには、社会的な必然性があるのです。それが理解できれば、数学・物理の基礎事項の重要度を見直すことができると思います。

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