東大理系数学'05年前期[2]

となるどのような複素数zに対してもとは表されない複素数w全体の集合をTとする。すなわち、
とする。このとき、Tに属する複素数wで絶対値が最大になるようなwの値を求めよ。


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解答 問題文前半の言い方では、考えにくいので、集合記法で書き直してある方で考えることにします。
まず、変換式:
z2次方程式: ・・・@ と見て、zについて解きます。
・・・A
苦しい形になりますが、複素数の平方根2乗してになる複素数だとします。
ですがこれでは、の処置に困ります。
2乗してになる複素数を考えるのに便利な技巧は極形式です。でも、ここで極形式を持ち出すくらいなら、はじめから極形式で書いてきた方がよいだろう、ということで、zを極形式で、
()と表すことにします。
という条件は、となります。


 (ド・モアブルの定理を使用)

これはrを固定して考えると、,つまり、のときに最大になります。
このとき、を満たせば
wT上の点になります。
のとき、として、

 (微分・導関数を参照)
においては、よりは単調増加で、のとき最大。
このとき、
できた!と驚喜したくなるのですが、解答として妥当かどうかを調べてみます。
@で、としてみると、

 ∴
を満たすのですが、は満たしません。
は、集合
Tの条件式:を満たさないのです。
つまり、は集合
Tの要素にはなり得ず、この問題の解答とするわけにはいきません。

これは、Aが、
wに対してzの値が1通りであるかのように見えるためです。
ですが、@は
2次方程式なので、解は2個、つまり、zの値は2通りあります。
に対する
z2個あります。
の最大値は、
2次方程式@の解が2個ともを満たすという条件下で考えなければなりません。
かと言って、

とおいて、
を満たすzを求めるのは、厳しそうです。
そこで、少し単純な問題を考えてみます。

与えられたに対して、とおき、を満たす
zを求めてみます。
 (ド・モアブルの定理を使用)
より、
また、よりより、
よって、

,または、
 ・・・
()
これなら、の最大も、に関する条件もラクに考えることができます。

実は、東大第
2問は、この単純化された問題に帰着できる形をしています。
の両辺に
1を加えると、
 ・・・B
となるので、与えられた ()に対して、
()とおき、を満たすzを求めてみます。
よって、上記()を利用して、

 ・・・C

より、 ∴
左辺を平方完成して、

(ここまで、複号同順) ・・・D
さて、という条件は、2次方程式@の2つの解Cの双方について成立する必要があります。Dの条件も複号の+,−の双方について成立する必要があります。
つまり、ある定められた
φに対して、
かつ
この条件は、 ()としてとおくと、
かつ ・・・E
という条件と同値です。
より、は単調増加。 
(合成関数の微分法関数の増減を参照)
より、
において、
また、とすると、 ∴


従って、
においては、より、E
この範囲のxに対してが最大になるのはのときで、
においては、より、E
この範囲のxに対してが最大になるのはのときで、

一方、のとき、

 (2次関数の最大・最小を参照)
であれば、において最大で、最大値は1
であれば、R最大のときに最大となります。また、R最大という条件のもとで、が最小のときに、は最大です。
上記のように、Rが最大値をとるときに、であって、なので、R最大と最小は同時に起こり、しかも、の最大値は、
以上より、が最大になるのは、
()のときで、このとき、
......[]

一応、確認をしておくと、として、
を解くと、,このとき、となり、
2解とも、を満たしています。

別解 上記のように素直に極形式でやってしまうと、()からC,Dと来るあたりでゴタつきます。そこで、2乗してとなる複素数を求めてしまわずに、単に、αと置くことにします。すると、B:を満たすzは、より、,また、より、
条件:は、複号の±のいずれに対しても成り立つ必要があるので、

かつ
となり、αは、1を中心とする半径の円から内側であって、かつ、を中心とする半径の円から内側の複素数となります。このとき、
となりますが、等号が成立するのは、
のときで、2円の交点は、より、αがこの交点に来るときにw最大です。
従って、の最大値を与える
wは、
......[]


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