東大理系数学
'05
年前期
[4]
3
以上
9999
以下の奇数
a
で、
が
10000
で割り切れるものをすべて求めよ。
解答
東大では頻出の整数問題です。
整数
を参照してください。
まず、
k
を自然数だとして、
とおいてみます。
これを
a
の
2
次方程式とみて解くと、
ここで根号が開ける、つまり、根号内が平方数である条件を考えればよいのですが、
などと置いてもちょっと展望はないですね。
9999
は
に近いのですが、
のとき、
となりますが、
で割っても、
これでは、
k
として調べる範囲が広すぎます。
よって、この方針はボツ。
なので、
とか、
とかして、
2
次方程式を解く方針も考えられますが、先の方針と似たり寄ったりでしょうね。
次に、
と因数分解してみます。
これで、
1
つ気がつかないといけないことがあります。
,
a
は連続している
2
整数です。片方が奇数で、もう一方は偶数です。
とるに足らないような当たり前のことですが、こういうことが整数の問題では非常に役立つときがあります。
10000
を素因数分解して出てくる
は偶数です。
は奇数です。
ということは、次の
2
つの場合しかあり得ないということです。
(i)
が
の倍数で
a
が
の倍数
(ii)
が
の倍数で
a
が
の倍数
これ以外の場合
(
たとえば、片方が
の倍数で、他方が
の倍数になるような場合には、
2
数がともに偶数になってしまいます
)
はあり得ません。
(i)
の場合、
k
を整数として、
とおくと、
l
を整数として、
とおけます。つまり、
この左辺は偶数なので、
は奇数です。
l
も奇数です。
より、
の
8
通りに限られます。
この程度なら全数チェックしてもよいでしょう。
と書ける数の中から
16
の倍数になるものを探します。
の各々について、
となりますが、
このうち、
16
の倍数は、
に対応する
624
だけです。
のとき、
です。
原問題のままなら、
a
が奇数になるのは
(i)
の場合だけなので、
......[
答
]
ここでは、
a
が偶数の場合も調べておきます。
(ii)
の場合、
k
を整数として、
とおくと、
l
を整数として、
とおけます。
は偶数なので、
は奇数となり、
k
も奇数です。
より、
の
8
通りに限られます。
と書ける数の中から
16
の倍数になるものを探します。
の各々について、
このうち、
16
の倍数は、
に対する
9376
だけです。
よって、
この問題では、
,つまり
の下
4
桁が
a
に一致していると言っているわけですが、実際、
,
となります。
小学生の家庭教師のアルバイトをやっていて、かけ算の練習をさせるとき、
何でもよいから、
3
桁の数を考えてごらん、と言って、
小学生が、例えば、
293
を考えたとします。
まず、
7
をかけてみてね、と、言います。
となります。
次に、今出てきた答に
11
をかけてみてね、と、言います。
となります。
さらに、今出てきた答に
13
をかけてみてね、と、言います。
となります。
はじめに考えた数と比べてごらん、と言うと、小学生が計算間違いをしていなければ、
目を丸くします。
なぜだろうね?と言って理由を考えさせるのもよいかもしれません。
ほかにも
3
桁の数を考えさせて、計算を何回かやらせるうちに、
7
と
11
と
13
にトリックがあるな、ということに気づかせることができるでしょう。
要するに、
だからなのですが、こんなことからでも、小学生に数の不思議さを体験させて科学への興味を持たせることができれば素敵だと思いませんか?
原問題が
a
を奇数の場合に限っているのは、
(i)
も
(ii)
も結局同じことを
2
度やるだけなので、無駄かなと出題者が思ったからだと思いますが、
(ii)
の手間を省略したければ、
が
m
の倍数であって、
n
を整数として、
と書けるとき、
とすると、
より、
も
m
の倍数です。この問題で
a
が偶数でよいことにすると、
が答なら、
も答です。
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