東大理系数学
'06
年前期
[4]
次の条件を満たす組
を考える。
条件
(A)
:
x
,
y
,
z
は正の整数で
および
を満たす。
以下の問いに答えよ。
(1)
条件
(A)
を満たす組
で
となるものをすべて求めよ。
(2)
組
が条件
(A)
を満たすとする。このとき、組
が条件
(A)
を満たすような
z
が存在することを示せ。
(3)
条件
(A)
を満たす組
は、無数に存在することを示せ。
解答
とりたてて難問というほどではありませんが、試験会場で、どれだけ冷静に考えることができるか、という問題です。
(1)
・
のとき、
∴
これを満たす、正の整数
x
,
z
は存在しません。
・
のとき、
∴
これを満たす、正の整数
x
,
z
は存在しません。
・
のとき、
より、
に限られます。
i)
のとき、
これを満たす正の整数
z
は存在しません。
ii)
のとき、
これを満たす正の整数
z
は存在しません。
iii)
のとき、
∴
以上より、
......[
答
]
(2)
組
が条件
(A)
を満たすので、
・・・@ が成立します。
このとき、組
が条件
(A)
を満たすなら、
が成り立つはずです。
このとき、@より、
,よって、
∴
と
について、
であることが示せれば良いのですが、
の場合と、それ以外の場合とで分けて調べます。
・
であれば、
として、条件
(A)
を満たす組
が存在します。
・
または、
である場合、
(1)
より、
ゆえ、
の両辺に
をかけて、
より、
よって、
∴
・・・A
よって、組
は条件
(A)
を満たします。
以上より、組
が条件
(A)
を満たすような
z
が存在します。
(3)
から出発して、組
から組
を求めるという手順で、条件
(A)
を満たす組
を次々に求めていったとします。
実際に求めていくと、
→
→
→
→
→
となっていきます。
条件
(A)
を満たす、
n
番目の組
(
)
が存在することを
数学的帰納法
により示します。
・
のとき、
とすれば、
(1)
により、
1
番目の組
が存在します。
・
のとき、
とすれば、
(1)
により、
2
番目の組
が存在します。
・
のとき、条件
(A)
を満たす組
,
が存在すると仮定します。
,
,
として、
(2)
より、
とすれば、条件
(A)
を満たす組
が存在します。
よって、
のときも、条件
(A)
を満たす、
n
番目の組
が存在します。
数学的帰納法により、
となる整数
n
に対して、条件
(A)
を満たす、
n
番目の組
が存在します。
の場合に、
(2)
の中で、
,
として、
より、
であり、
のときに、
(2)
の中で、
,
として、
であれば、
(
Aの不等号の等号を除くことができる
)
従って、すべての
について、
以上より、すべての
について、条件
(A)
を満たす組
は異なります。
正の整数は無数に存在するので、条件
(A)
を満たす組も無数に存在します。
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