東大理系数学'09前期[1]検討

[1](解答はこちら) 雑誌「大学への数学」に掲載されている受験報告によると、この問題の(1)(2)は意外によくできているようです。パスカルの三角形を少し書いてみればよいのですが、「」には、東大受験生の多くが試験会場で気づけている、ということだと思います。

解答の最初のところに書いた京大理系
'97年前期[2]:は次のような問題でした。

nが相異なる素数pqの積、であるとき、個の数 ()の最大公約数は1であることを示せ。

解答 なので、 ()の最大公約数は、1pqです。
では、分子の
p個の整数の中に素数pの倍数は1個しかありません。また、分母には素数p1個出てきます。従って、分母・分子でpが約されてしまい、分子には素数pの倍数は残らないので、pの倍数ではありません。
また同様に、
qの倍数ではありません。
,・・・,の中に、
pの倍数でないもの、qの倍数でないものが含まれるので、個の数 ()の最大公約数は1です。

この問題を考えたことがある人であれば、即座に「」を思いつけると思いますが、それほどポピュラーな問題とも言えないので、この問題を仮に知らなくても「」に気づかないようでは東大合格は難しい、ということだろうと思います。
もっと言うと、「,・・・,」を見たときに、パスカルの三角形や、,二項定理などが、頭に浮かぶようになっていて欲しいのです。これらは決して高級な受験技巧ではありません。教科書にも書かれていることです。東大合格
(に限りませんが)のためには、まずは、教科書の基礎事項をしっかりとマスターしておくべきだ、ということが言えます。
」に着目できれば、
(1)は、の分母・分子に素数mが出てくるかどうか、ということだけです。
(2)の数学的帰納法は、解答にも書きましたが、問題文でことさらに「kに関する数学的帰納法」とことわっていることに注意できるか、ということに尽きます。出題者も心配になったのでわざわざ注意を喚起したのだろうと思います。「kに関する帰納法」ということになれば、のときを仮定してのときを示すことになるので、に二項定理を適用するのは自然な流れになります。東大受験生の多くも、こうして解答したのだろうと思います。
(3)は、上記でも紹介した雑誌「大学への数学」に掲載されている受験報告によると、逆に、意外と不出来です。(2)に二項定理を適用したら、jに数を、とかとかいろいろと入れてみる、ということ(微分したり積分したりしてから代入することだってあります)は、こうやれば必ず成功する、というものではありませんが、試験会場でもぜひ心がけてみて欲しいことです。を見た瞬間に、勝利を確信できるはずなのですが、(2)ができて(3)ができない、というのがやや残念な気がします。ちょっとしたイタズラ感覚なのですが、学校に便利な施設がいろいろとあるのに、いろいろと制約を付けて、せっかくの施設を宝の持ち腐れにしてしまっている学校が多くて、受験生が便利な式をいじってみようという気を起こさない、ということなのでしょうか?


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