東大理系数学'10年前期[1]検討

[1](解答はこちら) 2変数関数の最大・最小問題の解法には、以下のようなものがあります。
(i) 2文字の2次式の場合には、1文字ずつ平方完成します。
(abは実数)の最小値を求めるのであれば、まずaについて平方完成し、残った部分はbについて平方完成します。


なので、Pは、,かつ、,つまり、かつのときに最小値3をとります。

(ii) 分母・分子が同次式の分数の形をしている場合には1変数関数に直せます。
2変数の分数でも、分母・分子が同次で、次数が一致している場合には、2変数の比を新たに変数に取り直すと1変数の関数に直すことができます。
例えば、早大理工
01[2]

Aは中心O,半径1の円の内部およびその周上を動き、点Pは中心,半径1の円の内部およびその周上を動くとする。このとき、とおく。次の問いに答えよ。
(1) 直線APの傾きをmとする。kmを用いて表せ。
(2) kの値のとり得る範囲を求めよ。

解答 kについて、分母、分子とも1次式です。(1)は、2変数の比を考えるように促すヒントです。
(1) にはなり得ないので、直線BPの傾き: (直線の方程式を参照)より、kの式の分母・分子をで割って、
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(2) 2円の中心Oの中点Mです。直線APをいろいろと動かしてみると、直線APMを通過してかつ、2円に接するときにmが最大・最小となることがわかります。このとき、APは接点になり、として、
より、となります。従って、mのとりうる値の範囲は、
 ・・・@
(1)の結果より、
このグラフは、を漸近線とする双曲線です。@の範囲において
kmの増加関数で、
......[]
次の東工大99[1]も同様の発想で解答できます。

正の実数abpに対して、

の大小関係を調べよ。


解答 ab2変数関数ですが、分母・分子ともp次の同次式なので、 ()1変数関数と考えることができます。の分母・分子をで割って、
として、
 (商の微分法を参照)
(a) のとき、より、において最大で、より、 (不等号の等号はのとき)
(b) のとき、より、において最小で、より、 (不等号の等号はのとき)
(c) のとき、
のときのときのときなので、(a)(b)(c)より、
またはのときかつのときかつのとき
......[]

(iii) 1文字を固定して他方の文字を変化させ、最大最小を固定した文字の関数として求めておき、はじめに固定していた文字をさらに動かして最大最小を求めます。
例えば、東大83[3]では、

平面上に点Oを中心とする半径1の円Cがある。また、この平面上のOと異なる点Aを通って直線OAと垂直な空間直線lがあり、平面とのなす角がである。このとき、円Cと直線lの間の最短距離を、2OA間の距離aで表せ。

解答 点Oを原点として、直線OAの方向にx軸、平面上に直線OAと垂直な方向にy軸、この平面と垂直にz軸をとります。円周C上の点Pの座標はとして、と表せます。直線lの方向ベクトルをとそます。
注.直線lの方向ベクトルは、の複号の取り方で4通りの可能性がありますが、どれをとっても結果に変わりはありません。
直線lAを通るので、l上の点Qの座標は、tを実数として、
 (空間ベクトルを参照)
と表せます。



 (という条件付きなら(i)の場合になりますが、ということもあり得るので、のときに最小値をとるとは限りません)
tq 2変数関数になりますが、まずq を固定してt2次関数と見ると、のときに最小となり、このとき、
今度はq を動かすと、これをに関する2次関数と見ることができて、より、
(a) のとき、のときに最小値
(b) のとき、のときに最小値
となります。よって、円Cと直線lの間の最短距離は、
のときのとき
......[]
京大99年後期[2]では、

abgを満たすものとする。このとき、の最大値を求めよ。

解答 abg3変数がありますが、という関係があるので実質的に2変数です。また、3変数とも、です。
 (積を和に直す公式を利用)
ここで、g を固定してを動かすと、より、
 (不等号の等号はのときに成立)
とおくと、
 (積の微分法微分の公式を参照)
においては、のときのときより、の最大値は (関数の増減を参照)で、の最大値も、のときに ......[]


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