東大理系数学'10年前期[3]検討

[3](解答はこちら) (1)を割り切ってパスし、(2)(3)だけを解答する、ということにすれば難問ではないし、合格のためにはその方が賢明だと思います。何と言っても(1)の問題文の意味するところが難解です。出題者がヒントのつもりで問題文に書いていることが、受験生にとっては迷惑なことになっているのですが、あらかじめ入試問題を多数の人にモニターしてもらうわけにもいかないので、こういうことは起こり得ると考えておく方が良さそうです。
(1)も以下の過去問の経験があれば、最初の1回の前後の関係を調べるというアイデアは樹形図から思いつけないことはないと思います。ですが、何十年分も過去問を見ておくのは普通の受験生では無理だと思います。また、日常生活から数学以外の課題に対しても、常識的な発想にとらわれずに奇抜なアイデアを思い浮かべる、ということをやっている受験生でないと、厳しいでしょう。

さて、解答に書いた東大
84[5]は以下の問題です。本問(2)(3)だけのときと比べると、こちらの方がやや難しい問題です。

各世代ごとに、各個体が、他の個体とは独立に、確率
p1個、確率2個の新しい個体を次の世代に残し、それ自身は消滅する細胞がある。いま、第0世代に1個であった細胞が、第n世代にm個となる確率を、と書くことにしよう。nを自然数とするとき、を求めよ。

解答 (i) のとき、のとき
(ii) のとき、
(iii) のとき
0世代から確率pで細胞1(0世代と同じ状況)になり、以降世代で細胞が1個になる確率は,一旦細胞が2個以上になってしまえば、細胞1個の状況には戻らないので、
これより、は、初項,公比pの等比数列で、
......[]
0世代から確率pで細胞1(0世代と同じ状況)になり、以降世代で細胞が2個になる確率は,第0世代から確率で細胞が2個になってしまうと、以降世代では、2個の細胞について、確率p1個の細胞から1個の細胞が生じるだけになるので、
で割って、
これより、の階差数列が,と見て、より、
......[]
0世代で細胞が2個あるとして、第n世代で細胞が3個になる確率をとします。
0世代で細胞が1個の状況で、第0世代から確率pで細胞1個になり、以降世代で細胞が3個になる確率は,第0世代から確率で細胞が2個になってしまうと、以降世代で細胞が3個になる確率はになるので、
 ・・・@
0世代で細胞が2個あるとき、確率で細胞は2個のままになり、以降世代で細胞が3個になる確率は,第0世代から確率で細胞が3個になってしまうと、以降世代では、3個の細胞について、確率p1個の細胞から1個の細胞が生じるだけになるので、
で割って、
これより、の階差数列が,と見て、より、

@に代入して、
で割って、
これより、の階差数列が,と見て、より、
......[]

東大90年前期[6]は以下の問題です。こちらは、本問(2)(3)と同程度です。

一つのサイコロを続けて投げて、最初の
n回に出た目の数をその順序のまま小数点以下に並べてできる実数をとおく。たとえば、出た目の数が526,・・・であれば、,・・・である。実数aに対してとなる確率をとおく。
(1) を求めよ。
(2) となるのはaがどのような範囲にあるときか。

解答(1) です。
などとなれば、となるわけですが、3回ごとに同じことが繰り返されることに着目します。
kを自然数として、サイコロを回投げたときにとなる確率を考えます。
サイコロを回投げてとなる
(確率)のは、1回目に1が出て(確率)、かつ、2回目に1が出る(確率)か、または、2が出て、なおかつ、2回目に2が出た(確率)ときは、3回目に12が出る(確率)か、または、3が出たときで、3回目に3が出た(確率)ときには、残る回でとなる(確率)ときです。よって、

これより、は、初項,公比の等比数列で、

のときより、
......[]
(2) 1回目に123が出る確率はです。このときにn回サイコロを投げて題意のようにしてできる実数は、1回目に3が出て以後6が出続けてできる実数以下です。また、サイコロの目は16しかないので、より大きく、1回目に4が出て以後1が出続けてできる実数未満の実数ができることはありません。よって、となるaは、
......[]


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