東大理系数学'10年前期[6]検討

[6](解答はこちら) 本問は、ほぼ、1次結合と内積、相似比だけで解答できてしまうので、特殊な受験技巧を使うようなところはありません。解答では無理矢理にメネラウスの定理も使いましたが、使わなくても解答可能です。最大値も2次関数なので基本的と言えるでしょう。特別な勉強をしていなかった受験生でもコツコツやっていけば最終解答にたどりつくことができると思います。ですが、(3)まで正解できた受験生は極めて少数ではないでしょうか。
東大理系では、息の長い思考が要求される問題は、毎年出題されていますが、本問のように、やることがはっきりしていて、手間のかかる処理だけが延々と続く、というタイプの問題は珍しいと言えます。強いて言えば、面倒な計算をさせられる微積の問題はあり得ますが、これは計算能力を見よう、ということでしょう。
本問については、空間ベクトルの問題なので仕方がないと言うべきか、あるいは、忍耐力のない学生に見かねた出題者が出題方針を変えたのか、わかりませんが、今年の東大受験生は大変だっただろうと思います。本問の
(2)(3)に取り組んで膨大な時間をかけたのにもかかわらずミスに終わった受験生が涙を飲み、さっさと放棄して他の問題に向かった受験生がガッツ・ポーズする、という構図は、素直に受け入れられるものではない気がします。
他の国立大学では、面倒な処理をこなせる持久力を見よう、という問題も見かけますが、合格者に違った能力を要求しているのだろうと好意的に受け取ることもできます。ですが、東大理系では、もう少し工夫した出題を考えてもらえないものか、と、感じます。言うは易く実現は困難ですが、解いていて楽しくなり、それでいて奥深さがあって、数学の思考力も要求される、という、全国の受験生が東大理系を目指してみよう、という気持ちを奮い立たせてくれるような、
'08年前期[5]のような問題が理想です。空間図形であれば、少々難度の高い問題ですが、'96年前期[3]'90年前期[3]のような問題を考案して頂くように願っています。

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