ベクトルとは

 大きさと向きを考える量をベクトルと言う。
右図1のように、ベクトルは、大きさを線分の長さで示し、向きを矢印のついた線分(有向線分)で表す。
Aと点Bを両端とする有向線分の向きがAからBに向かう向きのとき、この有向線分の表すベクトルをとする。このとき、ベクトルの出発点になっているA始点、ベクトルの行き先になっているB終点と言う。
ベクトルを単に
1文字で、というように表すこともある。
ベクトル
の大きさを、と表す。
2つのベクトルがあるとき、右図2のように、この両者の大きさも向きも等しいときに、2つのベクトルが等しいと言い、と書く。
1つのベクトルを平行移動しても、大きさも向きも変化しないので、ベクトルとしても変わらない。
右図
3のように3ABCがあるとき、の和と言い、と表す。
右図
3で、四角形ABCDが平行四辺形であるとき、なので、でもある。
右図
3で、とすると、
(交換法則)
右図4で、として、より、
(結合法則)
右図5で、として、の逆ベクトルと言い、 ()と書く。となるが、は大きさ0のベクトルで向きを考えることができない。大きさ0のベクトルを零ベクトルと言い、と書く。即ち、
右図6で、と考えることにする。として、
k
を正数として、に対して、向きを変えずにベクトルの大きさをk倍するときに、と書く。
kが負数のときには、と平行逆向きで大きさを倍とするベクトルをと書く。
のときには、ベクトルの大きさが0となるので、とする。
ベクトルの計算は、ベクトルを文字と見なして通常の文字計算と全く同様に行えばよい。

物理学で、「速度」とか「力」という概念を考えるとき、物体の速度の大きさ、力の大きさだけでなく、物体がどの方向に向かって進んでいるのか、力の向きはどちらを向いているのか、ということを考える必要があります。
このようなときに、ベクトルという量を考えます。
「速度」と言っても、北に向かって秒速5メートルで動くのと、西に向かって秒速5メートルで動くのとでは違います。
また、
1つの物体を、東向きに1[N]の力で引っ張り、かつ、北向きに1[N]の力で引っ張って、両者の力を合わせるとき、力の大きさは2[N]にならないのです。この場合、右図のように、合わせた力の向きは北東となり、力の大きさは[N]となります。
このときには、
2つの力の和は、ベクトルの和として考える必要があります。

ベクトルの和は、上記の図
3のように、三角形の2辺に沿って進むと最後の1辺に沿って進むことになる(AからBに行ってCまで行くのと、AからCまで直接行くのを、同じことと考える)、という見方と、平行四辺形の隣接する2辺に沿ったベクトルの和は、最後の頂点に向かう対角線に沿ったベクトルになる、という見方と2通りの見方が可能です。

ベクトルの差は、上記の図
6のように、引くベクトルの方を逆向きに進むと考えて、ベクトルの和を考えます(からを引くときは、を逆向きに進んでDからAまで行ってAからBまで行くと、DからBまで行ったことになる)

ベクトルの計算は、通常の文字の計算と同じです。

 
のように計算します。


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