茶女大物理'08[2]

ホログラフィーとは、3次元像を記録し再生する技術である。その原理について考察しよう。ここでは、ある点に置かれた質点の3次元的な位置を記録し再生することが可能であることを示す。
(1) 1のように、左側から波長λの平行なレーザー光線を点Pに置かれた質点に照射し、質点から距離Lだけ離れた点Oに、平行光線に対して垂直に写真フィルムを置く。写真フィルムでは、「平行光線」と「平行光線に照らされて質点から反射される光線」の、2つの光線が干渉し強め合った場所が感光する。ここでは簡単のために、干渉する2つの光線の強さは写真フィルム上で等しいとする。このとき感光した場所は同心円とする。この同心円の半径をLλを用いて求めよ。ただしLλに比べて十分長いとせよ。また質点で光が反射するとき位相は変化しないとする。
(2) この写真フィルムを現像すると、感光した場所は透明となって光を通すが、感光しなかった場所は黒色となって光を通さなくなる。すなわち現像後の写真フィルムは、前問で考察した同心円の部分のみ光を通す回折格子となる。次に図2のように、点Pには質点をおかずに、現像した写真フィルムのみを前問と同じ位置Oに置いて、左から前問と同じ平行なレーザー光線を写真フィルムに照射する。このとき、図2の点Qにおいてレーザー光線が強め合うことを説明せよ。
(3) 次に、前問(2)と同じ設定で、レーザー光線を照射しながら写真フィルムを右側から観察したとき、点Pに再生された像が見える理由を説明せよ。


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解答 深く考え込みすぎると複雑になってしまうので、点Qと点Pが、写真フィルムに関して対称な位置にあることに基づいて考察する程度で良いと思います。なお、波の干渉を参照してください。

(1) 写真フィルム上の点Sと点Oとの距離rとすると、点Sに到達する「平行光線」と「平行光線に照らされて質点から反射される光線」との経路差Δ?は、
Sにおいて両光線が強め合う条件は、として、

両辺を2乗して、
Lλに比べて十分に長いので、を無視すると、
() ......[] (のときは円でなくて点ですが、問題文中の図から解答に含めることにします)

(2) 写真フィルム上で点Oから半直線を引き、感光同心円との交点を点O側から順に、,・・・ とすると、(1)より、 として、
Qは写真フィルムに関して点Pと対称なので、
となっています。よって、点Pに質点を置かず、写真フィルムに垂直に平行光線を照射すると、透明部分,・・・ を通過した後に回折して点Qに到達したレーザー光線は、それぞれ経路差波長の整数倍となっており、点Oを通過した光も含めて、点Qで強め合います。

(3) Pに質点がある場合、平行光線を照射すると、感光して透明になる点O及び同心円(,・・・ は同心円上の点)以外のフィルム上の点では、質点で反射した光線と平行光線とは強め合わず、写真フィルムがなく右側に光線が進むときに、ここを波源とする素元波の影響は小さいと考えられます。(2)と同じ設定で平行光線を照射すると、感光して透明になっている、点O及び同心円を通過したレーザー光線は、点Pに質点がある場合と全く同様に、ここを波源とする素元波として、写真フィルムの右側に進みます。 (2)と同じ設定であれば、写真フィルムの右側に、点Pに質点があるのと同様の状況が実現し、点Pに再生された像が見えます。


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