京大物理'08前期[1]検討

[1](解答はこちら) 言われたとおりに解答してゆけば難しくはないのですが、最終結論が人間の常識的な感覚と異なるので、勘違いしたり、試験場で悩み込んでしまいがちな問題です。
出題者の意図は、ばねの弾性力の場合と万有引力の場合とで、各エネルギーの関係を比較させたいのだろうと思います。
(1)(2)(3)では、等速円運動の運動方程式から、運動エネルギーとばねの弾性エネルギーが等しくなることに気づかせようとします。ばねの弾性エネルギーが減少すると等量の運動エネルギーが減少し、結局、摩擦力が仕事をすると、速さは減少します。
それに対し
(4)では、運動方程式から、万有引力の位置エネルギーが運動エネルギーの2倍を負にしたものだ、と、わかるのですが、このときには、抵抗力のした仕事分だけ、運動エネルギーが増大して、物体が摩擦力によって加速される、という、常識、先入観に反するような結果が出てきます。
ピサの斜塔から、質量の異なる
2物体を落下させて、物体の落下加速度は質量に無関係という、当時の一般常識に反することを示そうとしたガリレオの逸話のようなことになる問題なので、ここで、まごつかないようにしなければいけません。
質量からエネルギーを取り出せるはずがない、と、人間がいくら強弁しても、物理学は、原子力発電所で電力が得られることを実践して見せているのです。人間は不完全な存在です。神が創造した物理学は人間の感覚を上回るのです。試験会場でも、出てきた結果を冷徹に受け入れなければいけません。

この問題で少々困るのは、どう答えるのかがよくわからない解答欄があることです。
()については、数値で答えよ、という指定がついていますが、()の「に比例する形で」というのも戸惑うし、()もどう答えればよいのかわかりません。とか、という解答が出てきたらどう採点したのでしょうか?ご覧の皆さんは、「式(iii)は直線上の等加速度運動と同じ形をしている」という問題文の表現が何を言いたいのか、題意の把握に努めてください。
私は、こうした空所補充型の試験は不適切だと思います。京大も、東大、東工大のように、完全記述式にすべきではないか、と思います。


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