東工大物理'09前期[3]検討

[3](解答はこちら) 本問は物理的な考察の必要な部分もあり、[1][2]と比べるとレベルの高い問題です。「気球」の問題で気体の密度が関係するので難しく感じるかも知れませんが、気球の問題としては浮力と密度の関係が把握できていれば決して難しいわけではありません。むしろ、最後の方で気体の問題として考え込んでしまうところが出てきます。
(g)では、結局、温度一定の大気中を力のつり合いを保ちながら下降するので、等温変化になるのですが、力のつり合いの成立と断熱変化の意味を正しく捉えることができるか、ということが問われています。(d)(e)はそこに気づかせるための誘導になっているのですが、気球内ガスが、大気と直接熱をやりとりするのではなく、大気とは断熱になっていて、別のメカニズムで大気との力のつり合いを成立させながら熱を奪われていて等温変化をする、というところは、力のある受験生でないと(d)(e)が誘導になっていることにさえ、なかなか気づけないかも知れません。
日頃から、物理に限らず、数学などでも積極的に難問にチャレンジし、疑問点は残さずに考え尽くしておく、というクセをつけておかないと、こういう問題でいきなり、深い物理的考察を求められても、その場での対応は難しいでしょう。
また、気体の問題にもかかわらず、状態方程式や熱力学第一法則が前面に出てこないのですが、
(b)(d)では力のつり合いの式から結果を導くために「状態方程式」が、また、(f)では、「断熱変化」というところから気体のした仕事を考えるために「熱力学第一法則」が、それぞれ重要な働きをしていて、気体の基礎がしっかりできていなければ解答できない問題になっています。決して高級な受験技巧をあおるわけでもなく、重箱の隅をつつくわけでもなく、気体分野の基本から物理的に考察するようにできているところが、この問題の優れているところです。


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