東工大物理
'10
年前期
[2]
検討
[2]
(
解答は
こちら
)
運動する観測者から見た電磁場は、静止している観測者から見た電磁場とは異なって見える、ということをテーマとした問題です。
磁束密度の大きさが
B
の一様な磁場の中を、電荷
q
をもつ荷電粒子が速さ
v
で磁場と垂直な方向に運動しているとします。磁場は荷電粒子に、荷電粒子の運動方向と磁場の双方に垂直な方向に、大きさ
のローレンツ力を及ぼすので、この力を受けて荷電粒子は運動の方向を変えます。
この現象を、この荷電粒子と同じ速度で運動する
(
電荷をもたない
)
観測者から見るとどう見えるか、というと、同じ速度で運動しているので静止して見える荷電粒子に大きさ
のローレンツ力が働いて運動方向が変わるように見えるのです。静止していればローレンツ力は
0
になるはずなので、この観測者には、どうしてローレンツ力が発生し、荷電粒子の運動方向が変わるのか、説明することができなくなってしまいます。
そこで、磁場中を運動する観測者から見ると、誘導電場ができていて、荷電粒子は誘導電場から力を受けるように見える、と、考えます。誘導電場の大きさを
E
とすると、電荷
q
がこの電場から受ける力の大きさは
なので、先のローレンツ力の大きさ
と等しいとして、
∴
つまり、速さ
v
で磁場と垂直な方向に運動する観測者には、大きさ
の誘導電場が、磁場と速度の双方に垂直な方向にできていて、この電場が荷電粒子に力を及ぼすように見える、と考えます。観測者が、磁場と垂直な平面内で、半径
r
の円軌道上を角速度
ω
で等速円運動していれば、
として、観測者には、大きさ
の誘導電場ができているように見えます。
これが、アインシュタインの相対性理論の出発点になっているのですが、こうしたことが、本問の背景にあります。以上のことを少しでも知っていれば、本問は問題なく解答できると思います。注意すべき点があるとすれば、
[A](b)
で、原点からの距離
r
の地点での静電気力を
として、この位置エネルギーを求めさせているのですが、こうしたところでは、位置エネルギーの定義をしっかり理解できているか、ということが問われます。何気なく参考書や問題集の解答を読み流してしまうと、いざ、位置エネルギーを求めよ、と、言われたときにまごつきます。簡単な問題のように見えても、どういう力の仕事を考えていて、力はどちらを向いているのか、移動方向とどういう関係にあるか、こうした基本的なことが理解できていないと解答できません。物理には、こうしたところがいくつかあって、単に公式の字面を記憶していても、実際の問題に当たったときに、公式の適用の仕方がわからない、ということが起こります。公式の意味するところからしっかりと理解するように心がけてください。
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